産後の腰痛は骨盤だけが原因?抱っこ・授乳・筋力低下との関係|つくばみらい市
産後に「抱っこすると腰が痛い」「授乳後に立ち上がると腰がつらい」「出産してから腰痛が続いている」と感じていませんか?
産後の腰痛というと「骨盤のゆがみ」が原因と思われがちですが、腰痛を骨盤だけで説明することはできません。
妊娠・出産を経た身体の変化に加えて、抱っこや授乳などの育児動作、活動量、筋力や身体機能、妊娠中からの腰痛・骨盤帯痛など、複数の要素を考える必要があります。産後の骨盤帯痛に関するシステマティックレビューでも、妊娠中の骨盤帯痛や腰痛歴など複数のリスク因子が報告されています。
みらい平Life Fun鍼灸接骨院では、産後の腰痛を「骨盤だけの問題」と決めつけず、姿勢・動作・股関節・体幹・筋力・育児動作などを確認することを大切にしています。
この記事では、産後に腰痛が起こる背景と、抱っこ・授乳・身体機能との関係、セルフケアや運動を始める際のポイントについて解説します。
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産後の腰痛は「骨盤のゆがみ」が原因?
産後の腰痛を、骨盤のゆがみだけで説明することはできません。
そもそも腰痛は、一つの構造や姿勢だけで原因を特定できないことが多い症状です。
産後の場合には、
・妊娠中からの腰痛や骨盤帯痛
・妊娠・出産に伴う身体の変化
・抱っこや授乳などの育児動作
・活動量の変化
・体幹や下肢の身体機能
・睡眠や休息
・過去の腰痛歴
などを総合的に考える必要があります。
2020年のシステマティックレビューでは、産後の骨盤帯痛に関連する要因として、腰痛歴、妊娠中の骨盤帯痛、妊娠前BMI、妊娠中の身体的負荷などが報告されています。ただし、研究間のばらつきが大きく、単独の要因だけで説明できるものではありません。
つまり、
「産後だから骨盤がゆがんで腰痛になった」
と一本の原因に結びつけるより、今の身体と生活のどこで負担が増えているのかを見ることが重要です。
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妊娠・出産後は身体にどのような変化が起こる?
妊娠中はお腹が大きくなるにつれて身体の重心や姿勢が変化します。
ACOG(米国産科婦人科学会)も、妊娠中には体重増加や重心位置の変化が生じ、荷重時の関節や脊柱への力が変化すると説明しています。
出産した瞬間に、こうした妊娠中の身体の使い方や身体機能がすべて妊娠前へ戻るわけではありません。
さらに産後には、休養期間が始まるどころか、
抱っこ、授乳、オムツ交換、沐浴、寝かしつけ
という新しい身体活動が始まります。
人体というものは出産後に育児休暇を取得してくれません。
そのため産後の腰痛を考える際には、出産そのものだけでなく、出産後に始まった生活動作まで含めて評価する必要があります。
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抱っこは産後の腰に負担をかける?
赤ちゃんを抱き上げる動作では、身体を前へ倒す、膝や股関節を曲げる、赤ちゃんを身体へ引き寄せる、立ち上がるといった複数の動作が必要です。
さらに、
・床から抱き上げる
・ベビーベッドから抱き上げる
・チャイルドシートから降ろす
・抱いたまま立ち上がる
・抱っこしながら歩く
では、身体の使い方がそれぞれ異なります。
2025年に発表された産後女性が自分の乳児を持ち上げる動作を調べた研究でも、課題によって体幹・股関節・膝の動きや筋活動が異なることが報告されています。特にチャイルドシートを含めた持ち上げでは負荷が増加しました。
ただし、
「前かがみで抱っこしたから腰痛になった」
と単純に考えることもできません。
一般的な持ち上げ動作について調べたシステマティックレビューでは、腰椎を曲げて持ち上げること自体が腰痛の発症・持続のリスクになるという質の高い証拠は確認されていません。
大切なのは「腰を絶対に曲げない」ことではなく、どの動作で症状が増えるのか、その動作を行う身体機能があるのかを確認することです。
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授乳も腰痛に関係する?
授乳では同じ姿勢を一定時間続けることがあります。
赤ちゃんの位置が低ければ身体を前へ倒したり、背中を丸めたりして授乳することもあります。
2022年に493人の授乳中女性を対象にした研究では、腰・首・肩・手などの筋骨格系症状が報告されています。
さらに2026年の216人を対象とした研究では、90.7%が腰痛を報告していました。授乳中に症状が増えるケースも確認されています。
ただし、これらは主に観察研究であり、
「授乳姿勢が悪いから腰痛になった」
という因果関係まで証明したものではありません。
授乳姿勢を見るときも、
「背中が丸いからダメ」
ではなく、
・どのくらい同じ姿勢が続くか
・身体を支えられているか
・赤ちゃんの高さはどうか
・授乳後に症状が変化するか
を確認する方が現実的です。
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産後の腰痛と「筋力低下」は関係する?
ここも誤解されやすいところです。
「腹筋が弱いから腰痛になった」と単純に断定することはできません。
妊娠・産後の腰骨盤痛における脊柱の運動制御を調べた2022年のシステマティックレビューでは、痛みのある女性とない女性で動作や筋活動に違いが報告されたものの、一貫した差は限定的でした。
つまり、
筋力が弱い=腰痛の原因
という単純な関係ではありません。
一方で、産後は活動量が低下したり、育児に必要な動作へ身体が十分適応できていなかったりすることがあります。
そのため、
・スクワット
・片脚立ち
・歩行
・抱き上げ
・体幹を保った動作
などを確認し、「筋力が何kgあるか」だけではなく、実際の生活動作に必要な身体機能があるかを見ることが重要です。
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産後の腰痛セルフチェック
次の項目を確認してみてください。
□ 床から赤ちゃんを抱き上げると腰が痛い
□ 抱っこを続けると腰がつらくなる
□ 授乳後に立ち上がると腰が痛い
□ 長く座った後に腰がつらい
□ 歩く時間が以前より減った
□ 片脚立ちで左右差を感じる
□ しゃがんで立つ動作が以前より大変
□ 股関節を動かしにくい
□ 妊娠中から腰痛や骨盤周囲の痛みがあった
当てはまる数だけで腰痛の原因を判断するものではありません。
重要なのは、
「どの動作で、どこに、どの程度の症状が出るか」
を確認することです。
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産後の腰痛には運動をした方がいい?
医学的に問題がなく、身体の状態に合わせて行うのであれば、産後の運動は段階的に再開していくことが推奨されています。
ACOGでは、合併症などがなければ出産後の運動を医学的に安全なタイミングから徐々に再開することを推奨しています。帝王切開や合併症があった場合は、開始時期について産婦人科への確認が必要です。
また2025年のシステマティックレビュー・メタ解析では、産後1年以内の女性を対象として、運動が腰痛・骨盤帯痛・腰骨盤痛などへ与える影響が検討されています。
ただし、
「産後だから腹筋100回」
のように、身体の状態を無視して一律に運動する必要はありません。
まずは、
・歩く
・座る
・立ち上がる
・しゃがむ
・片脚で身体を支える
・赤ちゃんを抱き上げる
といった日常動作がどうなっているか確認します。
そのうえで必要に応じて、体幹・股関節・下肢などの運動へ進めていきます。
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自宅でできる産後腰痛対策
1.抱き上げる場所を確認する
毎回床から抱き上げている場合と、ある程度高さのある場所から抱き上げる場合では負荷が異なります。
痛みが強い時期には、可能な範囲で環境を調整する方法もあります。
2.赤ちゃんを身体から離しすぎない
抱き上げた後に赤ちゃんが身体から大きく離れていると、身体を支える負担が増えることがあります。
安全を確保しながら、自分が支えやすい位置を探します。
3.授乳中に身体を支える
授乳クッション、背もたれなどを利用して、自分の身体や腕を支えられる環境を作ります。
4.短時間から身体を動かす
いきなり長時間の運動を始める必要はありません。
体調や出産後の経過に問題がなければ、短時間の歩行などから徐々に活動量を戻していきます。
5.「腰を曲げない」にこだわりすぎない
腰を曲げること自体を怖がる必要はありません。
腰痛のない人でも腰を曲げて物を持ち上げますし、腰椎屈曲そのものを腰痛の原因とする根拠は限定的です。
痛みの状態に合わせながら、股関節や膝も含めて自分が動きやすい方法を探しましょう。
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産後の腰痛で医療機関への受診を優先した方がよい症状
産後の腰痛だからといって、すべてを整体や運動で対応するわけではありません。
次のような場合には、医療機関での評価を優先してください。
・強い外傷後に腰痛が出た
・急激に痛みが悪化している
・発熱や強い全身症状を伴う
・足に強い筋力低下がある
・排尿や排便に異常がある
・会陰部周辺の感覚がおかしい
・安静にしていても非常に強い痛みが続く
・産後の体調に関して産婦人科から運動制限を受けている
特に神経症状や排尿・排便障害を伴う場合は、セルフケアで様子を見続けないことが重要です。
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みらい平Life Fun鍼灸接骨院では何を確認する?
当院では、産後の腰痛を「骨盤がゆがんでいるから」と最初から決めつけません。
症状に応じて、次のような項目を確認します。
立位姿勢・重心
立っているときに身体をどのように支えているかを確認します。
ただし、姿勢の見た目だけで腰痛の原因を判断することはありません。
歩行
歩幅や左右差、体幹・骨盤・股関節・膝・足部の動きを確認します。
股関節・膝・足部
腰だけでなく、下半身をどのように使っているか確認します。
しゃがむ・立ち上がる動作
抱っこや床からの立ち上がりに近い動作を確認します。
片脚で身体を支える能力
抱っこしながら移動するときなど、育児では左右どちらかへ体重を移す場面が多くあります。
体幹・筋力
単純な腹筋力だけではなく、日常生活や育児に必要な動作を行える身体機能があるかを確認します。
実際の育児動作
必要に応じて、
「抱っこすると痛い」
「授乳後に痛い」
「床から立つと痛い」
など、実際に困っている場面から評価します。
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整体とトレーニングはどう使い分ける?
産後の腰痛に対して、全員が同じ施術やトレーニングをするわけではありません。
痛みが強く、動きにくい時期には、まず身体の状態を確認しながら整体などの施術やセルフケアを検討します。
一方、
・痛みは落ち着いてきた
・筋力や持久力を戻したい
・抱っこをしても疲れにくい身体を作りたい
・運動を再開したい
・妊娠前の運動習慣へ戻したい
という段階では、運動を取り入れる選択肢があります。
みらい平Life Fun鍼灸接骨院では、必要に応じてパーソナルトレーニングも行っています。
目的は、
「骨盤を元の位置へ戻す」ことだけではありません。
育児や日常生活で必要になる、
歩く・しゃがむ・持ち上げる・支える
といった動作を行いやすい身体を作っていくことも重要だと考えています。
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まとめ|産後の腰痛は「骨盤だけ」で考えない
産後の腰痛には、
・妊娠中からの腰痛・骨盤帯痛
・妊娠・出産に伴う身体の変化
・抱っこ
・授乳
・活動量
・身体機能
・筋力
・生活環境
など複数の要素が関係する可能性があります。
そのため、
「産後=骨盤がゆがむ=腰痛」
という一つのストーリーだけで身体を判断することはできません。
特に抱っこや授乳で腰痛が出る場合には、腰だけではなく、
体幹・骨盤・股関節・膝・足部をどのように使って動いているのか
まで確認することが重要です。
みらい平Life Fun鍼灸接骨院では、姿勢だけではなく歩行や立ち上がり、しゃがみ動作なども確認し、現在の身体の状態に合わせて整体・セルフケア・運動などを検討します。
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参考文献
- Wiezer M, et al. Risk factors for pelvic girdle pain postpartum and pregnancy related low back pain postpartum; a systematic review and meta-analysis. Musculoskeletal Science and Practice. 2020.
- Davenport MH, et al. Impact of exercise on musculoskeletal pain and disability in the postpartum period: a systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine. 2025.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period. 2020.
- ACOG. Exercise After Pregnancy. 産後の運動再開、運動量、筋力トレーニングについての一般向け指針。
- Aburub A, et al. Nursing Mothers’ Experiences of Musculoskeletal Pain Attributed to Poor Posture During Breastfeeding: A Mixed Methods Study. Breastfeeding Medicine. 2022.
- Characterizing kinematics, kinetics, and muscle activity of postpartum mothers lifting their own infants during three everyday tasks. 2025. 乳児を持ち上げる日常動作のバイオメカニクスを検討した研究。
- Saraceni N, et al. To Flex or Not to Flex? Is There a Relationship Between Lumbar Spine Flexion During Lifting and Low Back Pain? A Systematic Review With Meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2020;50(3):121-130.
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